どろらい?

小説とか絵とかを創ってる同人サークル『DrawingWriting』の小説担当が、目についた映画とか小説とか漫画とかアニメとかその他諸々な文化的生活に重要な娯楽について語る無駄グチブログです。

【バイオハザード デスアイランド】 特攻野郎Bチーム

 

ジルを好きだと叫びたい。

 

イカれた奴らを紹介するぜ

 

バイオハザード デスアイランド』を観てきた。

 

これぞファンムービー、といった映画だった。

 

ファンムービーというと個人的には『劇場版 遊☆戯☆王 〜超融合! 時空を越えた絆〜』という遊戯王シリーズの主人公三人でボスを砂にする映画が思い浮かぶのだけれど、この映画も非常にそれに近い。歴代バイオハザードシリーズの主役級が一挙に揃ってバイオテロリストをあの手この手でタコ殴りにする。シリーズに登場した様々な武器が登場するのも見どころだろう。

 

ぶっちゃけ、ストーリーはあって無いようなものだ。ボスの哀しい過去を聞いても「でもこっち(主人公チーム)も似た経験あるしなぁテロはいかんよ」という気持ちしか浮かばなかった。こっちには赴任一日目で先輩マービンを撃ち殺すことになったレオンが居るんだ、舐めて貰っては困る。

 

難しいことは考えなくていい。兎にも角にも主人公チームの活躍に胸を躍らせる。そういう楽しみ方が一番ではないかと僕は思った。

 

というわけで、この稿では本作に登場する主人公チームの面々と本作での魅力を呟いてみたいと思う。前回の水星の魔女の記事で頑張りすぎたので、今回はサクッとサクッと行ってみよう。

 

 

【弾ける筋肉むせる漢気】 クリス・レッドフィールド

とにかく筋肉だ。筋肉が凄い。銃を撃っても反動をその筋肉で丸ごと抑え込んでいるムキムキマッチョマンのイケメン野郎だ。個人的にはアーノルド・シュワルツェネッガー主演作のリメイクは彼にお願いしたい。

 

ゾンビや怪物たちへの対処も的確で、その射撃には一切のブレがない。危なげなく迫りくる敵を処していく姿はまさにプロ。上着を脱いだ後の筋肉の盛り上がり具合はキン肉マンの超人レスラーたちに匹敵するであろう。

 

嗚呼素晴らしき哉、マッチョイズム。ジルたちに見せる優しさも素敵だ。何故その気遣いをバイオハザード・ヴィレッジのイーサンにもっと向けてやれなかったのか……というのは多分禁句である。

 

【香り薫る母性の塊】 クレア・レッドフィールド

兄から譲り受けた赤いレザージャケットがトレードマークの理知的な女性。美人だがどことなく兄・クリスの面影があるのがCG技術としてすげえなって思う。

 

ラクーンシティから生還したタフネスさは健在であり、本作でも「足を撃って転ばせた瞬間に頭を撃ち抜く」など容赦ない攻撃をゾンビ共に浴びせた。優しいがやるときはやる。そういう覚悟がこいつにはある。

 

糞みたいな科学者を改心させる菩薩力が本作における彼女の最大の魅力であり、彼女の働きが無ければ世界は未曽有の危機に陥っていたであろう。どうでもいいけどレオンとの仲はどうなったんだろう。バイオ3以降の話をあんまり追ってないのでよく分かんなかった。でも素敵な女性だと思う。バブみでオギャれマッドサイエンティストども。

 

ルパン三世に一番近い男】 レオン・S・ケネディ

ラクーンシティ赴任初日でバイオ2の事件が起き、そこからクレアと共に生還した甘いマスクなA級ヒーロー。「これぞ古き良き洋画の主人公」というユーモアセンスは今作でも健在だった。

 

初っ端で全速力で飛ばしていたバイクから転がり落ちるという派手なスタントをかましつつ、しっかりテロリストの所在地へと潜入していた手腕は、彼が武力だけでなく知力にも長けたエージェントであることの何よりの証左であろう。但し生物兵器のウイルスを食らったりパツキンのチャンネーとの1on1をひっそりさせられたり恐竜より遥かにデカいであろうラスボスの尾にクリスと共に吹き飛ばされたりと、作中におけるダメージ量は彼一人だけ明らかに多い。スタッフにひがまれているのか?

 

その真相は定かではないが、とりあえずダイ・ハードの新作は彼を主役にしても特に問題はない気がする。吹き替え版の翻訳は戸田奈津子氏が相応しかろう。あとどうでもいいが「へっへっへ、センキュー」と劇中で言ってくれたらなと思っていたのは僕だけだろうか。微妙にそこそこのレオンファンが同じことを考えていたのではないかと勘繰りつつ次の項へ移ろう。

 

【お前が次のララ・クロフトだ】 ジル・バレンタイン

あまりにもセクシー、あまりにもクール、あまりにもスタイリッシュ。ぶっちゃけ私がデスアイランドを観に行った理由の八割は彼女の活躍が見れるからだった。残り二割はレオン目的だ。うーん面食い。

 

ジルと言えば実写映画『バイオハザードⅡ アポカリプス』でシエンナ・ギロリーが演じた彼女も凄まじく美しかったが、今作でもそれは健在であり、おまけに今作ではアクロバティックなアクションの多くを彼女が担っている。物語の中心に居たのも彼女だし、『バイオハザード デスアイランド』というより『バイオハザード ジル・アナザー・デイ』とかなんかそんな感じのタイトルでも良かった気すらする。少なくとも私は非常にジルジルできた。

 

全世界のジル・バレンタインファンがこの映画で「やっぱジルっていいよね」「いい……」と浸りあったであろうことは想像に難くない。なんかちょっとララ・クラフトと服装も似てるしトゥームレイダーにも出演して欲しいところだ。更なるジルジルが我々を待っているに違いない。CAPCOMさん宜しくお願いします。

 

【実は世界を救った女】 レベッカ・チェンバース

実は1の記憶がうすぼんやりしていて、個人的にはよく知らない人だった。映画の公式サイトによると洋館事件でジルやクリスのバックアップをしてくれた子らしい。1は犬に嚙まれまくったことしか覚えていない。マジで。

 

まぁバックアップが主軸ということで、今作での活躍も映画の終盤になってからと、他のメインメンバーよりは活躍の機会が少なかったのは仕方ないのかも知れない。ただその活躍は凄まじく、彼女が居なければボスも倒せないし世界も滅んでいる。手柄としては間違いなく勲章モノだろう。

 

実は僕が知らないだけで、彼女は他のシリーズでもこんな感じの手柄を立てまくっているのかも知れない。いずれにせよアメリカ政府は彼女にもっと高給と好待遇を約束すべきだ。少なくとも前線に赴かせてよい人材ではない……と思うんだけどなぁ。働いてるシーンでも彼女の部下や同僚と思しき研究者の姿は見えなかったし、この辺りはアメリカに蔓延る闇を垣間見た気分になった。

 

……そう、闇だ。この映画には間違いなく闇があった。

 

ワンオペはやめろ

 

冒頭にも述べた通り、今作はそこまでストーリーに重きを置いている映画ではない。それは分かってはいるのだが、どうしても突っ込まずにいられないことが一つある。レベッカの項で述べた『闇』――具体的に言うとそれは、アルカトラズ島の地下に造られた基地についてだ。

 

余りにも人が居ない。居なさすぎる。

 

アルカトラズ島は極々小さな島だ。GoogleMapで調べた感じ、おおよそ東西450m、南北390m程度と言ったところだろう。しかし、これが「自分が管理すべき敷地」となると話は変わってくる。

 

今作のボスはアルカトラズ島の地表~地下に掛けて、かなり大掛かりな基地を作っていた。まぁ半分以上は前代の秘密基地を転用したものなのかもしれないが、それにしたって潜水艦ドック、武器弾薬の貯蔵庫、生物兵器の羽化装置、生物兵器の実験場など、ボスが利用していたと思しき場所はかなりの数がある。

 

にもかかわらず、基地内で描かれた敵方の人員はボスとマリアの2名のみ。厳密に言えばレオンの目の前でクソ科学者を奪い取った荒事班なども居るのかもしれないが、OPのカーチェイスシーン以降で出現しないことから、彼らはどちらかというと傭兵やスポット的な業務委託先だった可能性が高い。

 

マリアは戦闘以外のシーンでは幽鬼のように突っ立っているだけだし、クソ科学者が無理やり研究に協力させられていたのは(作中の描写を見る限り)数日程のように思える。おまけにボスは生物兵器の羽化が完了していないにもかかわらず「アルカトラズ島に潜入して来たクリス・クレア・ジルの3名を目視確認した」ことで行動を開始した。このライブ感MAXな判断力には目を見張るものがあるが、それはまぁおいておこう。

 

この「よし今や! やったるで!」のタイミングでボスとマリア以外にテロリストの姿が見えないということは、アルカトラズ島地下の研究所常駐職員は二名のみであったと判断して良いだろう。ここではマリアを頭数に入れているが、下手をするとマリアは手伝ってくれない可能性すらある。

 

これは恐ろしいことだ。

 

アルカトラズ島は北西から南東に掛けて伸びる斜めな島なので、上述のアルカトラズ島目視サイズから三平方の定理を用いて計算すると、今作の舞台となる研究所は長さ約590m弱より少々小さいサイズだろう。日本で最も長い駅は京都駅だそうで、長さは約560m。数字の上では近く思えるので、研究所がちょうど京都駅くらいのサイズだとイメージしてみよう。

 

果たして、たった二人で京都駅のメンテナンスが出来るだろうか?

 

アルカトラズ島はアメリカ西海岸に浮かぶ島であり、当然ながら潮風による建築物の劣化は無視できない。また研究に用いる各種データはコンピュータで管理していることだろう。テロリストが用いるデータ管理サーバーのデファクトスタンダードなど僕には知る由も無いが、まさかクラウドサービスを用いているわけではあるまい。となるとオンプレミス型サーバーを運用していると見ていいだろう。常時ネットワークに接続しているわけは無かろうが、いずれにせよサイバー攻撃に対する何らかの事前対処も要求される。

 

サーバー管理はすごく大変だ。ハードウェアは経年劣化するから定期的にメンテナンスしないとすぐにガタがくる。呼称したら部品交換をしないといけない。一番厄介なのは呼称箇所がよく分からない場合だ。原因の切り分け、対処策の取捨選択、予防策の策定等々、気づいたら数時間が吹っ飛ぶ。それでも下手をすれば大切なデータ自体が吹っ飛ぶ恐れがあるのだからやらざるを得ない。そうそうヘンなことなど起こらないのではと思うかもしれないが、ソフトウェアの側面でも日常的にシステムデータを採取し、システムに異常が発生しているかいないのかという閾値の設定など、異常が発生していない時でもやるべきことは山ほどある。

 

これに加えて研究所および居住区域の定期的な清掃、重要施設のチェック、保管している資材の棚卸、セキュリティ関連装置の点検、実験体たちへのエサやり……僕が想定できていないだけで研究所の運営維持には他にも多くの作業が必要となるだろう。かといってアウトソーシングすることも出来ない。バイオテロリストなのだから当たり前だ。

 

仮に研究とコンピュータ関連をボスが、それ以外の施設メンテナンスをマリアが担当したとして、この研究所はやっていけるのだろうか。

 

無理だ。どう見ても。

 

最低でも研究、ソフトウェア管理、ハードウェア管理にそれぞれ1名、施設メンテナンスに至っては主要区域ごとに1名は担当者をつけるべきだ。それでもワンオペに近い。何せ交代要員がいない。24時間365日、それぞれの担当区域で発生した問題はそれぞれの担当者が一人で解決していくことになる。ブラック企業も真っ青な労働環境だ。

 

こうしてみると、バイオテロに立ち向かう頭脳の役割を一人で担わされたレベッカも大概だが、テロリストの方がよっぽどえげつない環境にいることが分かる。そりゃあガリガリに痩せるわけだ。

 

もしかすると、この映画で本当に描きたかったことは、テロリストとして活動することの過酷さ、労働のブラックさ、社会的保障の無さ……転じて「テロリストになっちゃダメだよ!」という、超々教育的な啓蒙だったのかも知れない。そんなわけないが。

 

 

以上、

 

バイオハザード デスアイランド】 特攻野郎Bチーム

 

の項を終わろうと思う。ここまで読んでいただき有難うございました。